雅楽の紹介

「雅楽」の意味

「雅楽」という言葉には、「雅正の音楽」という意味があり、元来礼典などに用いられる正しい音楽という意味があります。それに対する言葉が「俗楽」であり、こちらは、一般的に演奏される音楽全般のことを指しています。

世界最古のオーケストラ、雅楽の歴史

「雅楽」の歴史は、今から約1400年前に日本に伝わってからとされています。
もともと日本国内にも国振歌舞(くにぶりのうたまい)と後に呼ばれる固有の歌や舞が存在していましたが、そこにシルクロードを通って、遠くは現在のベトナム・インド、中国大陸・朝鮮半島を経て伝来した楽器や曲が加わり、交わりました。
その後、平安時代中期に行われた“楽制改革” によって雅楽曲の分類や演奏時の雅楽器の編成が整理され、現在の雅楽の形になったと言われています。
日本の「雅楽」は、日本古来の歌と舞、古代アジア大陸から伝来した器楽と舞が日本化したもの、およびその影響を受けて新しくできた歌曲の総体をいいます。

雅楽の有名曲『越天楽』

雅楽の曲は目的の曲を演奏する前に、その調子を表す「音取」(ねとり)という短い曲を演奏して、その場の雰囲気を整えてから演奏する習わしとなっております。

したがって、下の演奏では「平調」(ひょうじょう)の曲を演奏するので、『平調音取』を演奏してから当曲(とうきょく・演奏したい曲)である『越殿楽』を奏しています。

 

唐楽の代表曲『五常楽』

『五常楽』は古代中国の唐の皇帝である太宗(たいそう)が貞観(627~649)の末期に作ったと伝えられています。
曲名は「五常」といわれる仁・義・礼・知・信(人の守るべき道徳)を
宮・商・角・微・羽の五つの音に配しているからとも伝えられています。

もっとも唐楽の特徴を表しているといわれ、最初に習得すべき曲です。

はるばる林邑(りんゆう)国からきた曲、『陪臚』

林邑国とは現在のベトナム地方にあった国といわれており、雅楽にはさまざまな国の音楽がシルクロードを通って日本に残されていることは奇跡的なことです。
いにしえより戦勝祈願の曲とつたえられており、源氏の棟梁 源義家などが出陣の際に必ずこの曲を奏していたと伝わっております。

雅楽の調子

雅楽には壱越調(いちこつちょう)、平調(ひょうじょう)、黄鐘調(おうしきちょう)、盤渉調(ばんしきちょう)、太食調(たいしきちょう)の六つの調子が現存していますが、同じ曲を違う調子で演奏すると、旋律までその調子に合わせたものに変化します。
同じ『越天楽』を黄鐘調と平調のものを聞き比べると、まったく違う旋律であることがわかります。

黄鐘調音取(おうしきちょうのねとり)~越天楽


演奏:礼楽研究会
龍笛 山下裕嗣
篳篥 大畠暁人 https://rozetu.com/
鳳笙 布谷彩菜

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